高血圧はどうして体によくないのか

Written by Grfut7uk

高血圧は、現代社会で広く見られる健康問題であり、重大な合併症を引き起こす可能性があります。
この記事では、高血圧の主な原因とその予防方法について詳しく説明します。
高血圧の理解と適切な対策を取ることは、心血管疾患や他の健康問題を回避するために重要です。

高血圧の定義と理解

まず、高血圧とは何かを理解しましょう。高血圧は、血液が血管に加える圧力が通常よりも高い状態を指します。
通常、血圧は収縮期(心臓が血液をポンプするとき)と拡張期(心臓がリラックスするとき)の2つの数値で表されます。
高血圧は通常、収縮期の数値(収縮期血圧)が140 mmHg以上および/または拡張期の数値(拡張期血圧)が90 mmHg以上で診断されます。
血圧の測定方法は、腕や手首に圧力をかけて血圧計で測定することが一般的です。

家庭で血圧を測った際、135/85mmHg以上になったら血圧のケアを始める目安です。
血圧計がない場合、病院で血圧が高めといわれたタイミングで受診しましょう。

高血圧にはほとんど自覚症状がありません。まれに頭痛やめまいとして現れる人もいますが、ほとんどの人が見過ごしています。
しかし、高血圧は多くの疾患につながるサイレントキラーです。
高血圧を防ぐことができれば年間10万人もの命を救えるといわれています。
そのため「症状が出ていないから大丈夫」とはなりません。血圧が高めであることがわかったらなるべく早めに対策をとるようしましょう。

高血圧の主な原因

高血圧の原因はさまざまですが、以下に主な原因を示します。

1. 加齢や遺伝的要因

加齢によって動脈硬化が進み、自律神経が乱れやすくなることで、血圧が上がりやすくなります。
親や祖父母が高血圧である場合、遺伝的な傾向が高まる可能性があります。
例えば両親ともに高血圧の場合、子どもは約50%が、両親のどちらかが高血圧の場合、約30%が高血圧になるという報告があるほどです。
ただし、高血圧になる遺伝子があるのではなく、体質が遺伝するためです。
また、生活習慣が親子で似るため影響するといわれています。

2. 生活習慣と食事

不健康な生活習慣や食事習慣は高血圧の主要な原因とされています。
高塩分の食事、過剰なアルコール摂取、肥満、喫煙、運動不足は高血圧のリスクを増加させる要因です。

塩分量

世界保健機関(WHO)は成人の1日の塩分摂取量を5グラム未満と推奨していますが、これは、高血圧や心臓疾患のリスクを低減するための目安とされています。
日本では、成人男性7.5グラム未満、成人女性6.5グラム未満の摂取基準を定めています。

飲酒

習慣的な大量飲酒は血圧を上昇させ中性脂肪を増やし、動脈硬化も促進してしまいます。
アルコール摂取量を1~2週間減らすだけで降圧効果が見られることがわかっています。
飲みすぎていることを自覚しているならほどほどを心がけましょう。
男性はビール瓶中瓶1本以下、女性ならビール瓶中瓶1/2以下が目安です。

肥満

肥満も高血圧の原因として知られていますが、特に内蔵脂肪型肥満は高血圧と関係しています。
内臓脂肪が多いと血液量が増加し、全身の末梢血管が圧迫され血圧が上昇するのです。さらに高インスリン血症を引き起こし、心拍出量を増加させ高血圧につながります。
肥満の人は血液中の脂質が多いため、血液がドロドロ状態にあります。体脂肪によって圧迫された血管を通ることになり血液を押し出す心臓にも大きな負担がかかり高血圧となるのです。
そのため、遺伝的要因で高血圧の人は肥満が原因とされており、肥満を解消することで高血圧が改善されるケースがあります。

喫煙

喫煙は血圧を上げる作用があります。タバコに含まれる化学物質(ニコチン)が体内に吸収され血管の収縮を促すためです。
さらに動脈硬化や心筋梗塞、狭心症のリスクも引き起こします。
そのため、高血圧の人が喫煙することは非常に危険です。
禁煙をすることで心筋梗塞などのリスクが低下し、4~5年の禁煙でタバコを吸わない人と同等のリスクになるといわれています。
喫煙している人はすぐに禁煙しましょう。

運動不足

一般的に運動習慣のない人は高血圧になるリスクが高いです。
適度な運動は体内の余計な塩分を排出する動きを高めますが、運動不足になると身体に余計な塩分をため込みやすくなります。
運動不足は肥満の原因にもなるため、間接的に高血圧の原因となります。

これらの要因を改善することは高血圧の予防になります。

3. ストレスと心理的要因

ストレスは一時的に血圧を上昇させることがあります。
ストレスにより交感神経の動きが過剰になり、自律神経が乱れてしまうと高血圧に。
交感神経の働きの一つに血管の収縮がありますが、血管の収縮によって血液の通り道が細くなり、血圧が上昇してしまうのです。
ストレス管理技術やリラクゼーション法を学び、ストレスの影響を軽減することが重要です。

4. 基礎疾患と合併症

他の健康問題や疾患、例えば心疾患や腎臓病など、高血圧の原因となることがあります。
心臓は全身へ血液を巡らせる役割があり、腎臓は血液をろ過する働きがあります。
そのため、心臓と腎臓は循環器にかかわっているのです。
病気が引き起こす高血圧の場合、原因となる病気の治療が重要です。

高血圧によって引き起こされる病気

高血圧は、他の健康問題を引き起こすリスクを高めることがあります。以下に、高血圧が引き起こす可能性のある病気と健康リスクを挙げます

心臓病

高血圧は心臓に負担をかけ、冠動脈疾患や心筋梗塞のリスクを増加させます。

脳卒中

高血圧は脳卒中の主要なリスク要因の一つであり、脳血管障害を引き起こす可能性が高まります。

腎臓疾患

高血圧は腎臓にダメージを与え、慢性腎臓病の発症を促進することがあります。

動脈硬化

高血圧は動脈壁の損傷を引き起こし、動脈硬化の進行を促進します。

高血圧はこれらの病気や健康問題のリスク因子となるため、適切な管理や治療が重要です。生活習慣の改善、薬物療法、医師の指導を受けることで高血圧のリスクを軽減できます。

高血圧の予防方法

高血圧を予防するためには、以下の健康的な生活習慣を採用することが重要です。

健康的な食事と栄養

食事は高血圧の予防に大きな役割を果たします。
食塩摂取を制限し、多くの野菜、果物、全粒穀物、健康的な脂肪、低脂肪乳製品を摂取しましょう。
カリウムやマグネシウムの摂取も高血圧の管理に役立ちます。

食塩の摂取量を減らすには

和食には塩分が多い傾向にあります。そのため、和食に含まれる調味料や食品を減らすとよいでしょう。
食事にバリエーションを持たせ、新鮮な野菜や果物、ハーブ、スパイスを活用して味付けを行えば塩分摂取量を減らせます。
または、調理時に食塩を加えず、食事の最後に少量の塩を加えることで塩分摂取をコントロールできます。
食塩の摂取量を減らすことは高血圧や心臓疾患の予防に役立ちます。個々の健康状態に合わせて、適切な食事プランを策定しましょう。

適切な運動と身体活動

適度な運動は血圧をコントロールするのに役立ちます。
普段の生活でも可能な有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水泳など)を週に150分以上行うことを目指しましょう。
ストレッチで筋肉と一緒に血管を伸ばして、血液が流れやすい状態にすると、血圧低下につながります。
運動によって体重を管理し、血圧を下げる助けになります。
体重はBMI25以下を維持するようにしましょう。

ストレス管理とリラクゼーション技術

ストレスを管理することは高血圧の予防に不可欠です。
高血圧の人は呼吸が浅く回数が多い傾向にあります。腹式呼吸のような深い呼吸をすると血圧を下げる活性物質が多く作られます。
また、深い呼吸には自律神経の作用を整える効果も。吐く息を長くすると副交感神経が優位になり血圧が下がることも報告されています。
他にも瞑想、ヨガなどのリラクゼーション技術を実践し、心身のリラックスを促進しましょう。

薬物療法と医師の指導

高血圧のリスクが高い場合、医師の指導の下で薬物療法を検討することがあります。
薬物は高血圧をコントロールするのに役立ちますが、必ず医師の指示に従いましょう。

高血圧で病院にかかる場合、内科か循環器科を受診するのが一般的です。
病院の大きさはあまり関係なく、大病院でもクリニックでも大差はありません。
ただし、小さなクリニックだと検査内容によっては対応していない恐れがあるため、一つの医療機関ですべての検査を終わらせたいなら、大きめの病院に受診したほうがいいでしょう。
最近では高血圧内科を標榜する医療機関もあり、日本高血圧学会では、高血圧専門医制度を設けています。
高血圧であれば専門医にかかるといいでしょう。

参考:高血圧専門医|日本高血圧学

高血圧の診断とスクリーニング

高血圧を早期に発見することは合併症の予防につながります。
定期的な血圧の測定と健康チェックアップを受けることが非常に重要です。
特に高リスクの個人(遺伝的リスク、生活習慣の問題など)は、血圧のモニタリングを怠らないようにしましょう。

高血圧に関する注意事項

高血圧のリスク要因についても理解しておきましょう。高血圧は単なる数値ではなく、そのリスク要因を正確に評価することが重要です。
高血圧のリスク要因には遺伝的な傾向、高塩分の食事、肥満、喫煙、運動不足、ストレス、および基礎疾患が含まれます。
これらの要因を知り、高血圧の予防に努めましょう。

まとめ

高血圧は深刻な健康問題であり、心臓病や脳卒中などの合併症を引き起こす可能性があります。
しかし、適切な生活習慣と予防策を実践することで高血圧を管理できます。
健康的な食事、適切な運動、ストレス管理、定期的な健康チェックは高血圧の予防に不可欠です。
高血圧が発症している場合、医師の指導に従い薬物療法を検討しましょう。
健康な生活を維持し、高血圧のリスクを最小限に抑えることが大切です。